7/15(土)
濃霧 風なし 波高0.5m
AM 5:30 羅臼漁港 出港
73海里 10時間 平均時速7.3ノット
PM 3:30 花咲港 入港
羅臼で朝起きると、回りは真っ白で隣の船も見えない
今日は、出港は難しいなと思うが、朝は毎日こんな感じだ。
するとだんだんと視界がひらけてきた、しかしよく見ると出て行く船は皆、ホエールウォチングだ、ライフジャケットを着けたお客様を10数人載せて出て行く。
視界50mぐらいになつたので出港した。
日本最東端納沙布岬に近づくとすごい海霧になつた。
そして視界10mになったので減速して、レーダーとGPSとにらめっこしながら二人でワッチする 大変です。
すると霧の中から急に定置網の直径1m位の浮き球群、あわてて、取り舵いっぱいでバックしたが、だめだった
ドドドーッと艇の4分の1ぐらいが乗り上げた。
すぐバックで難を逃れました。
定置網の4隅には梵天といって竿があって上部にレーダーの反射鏡が付いているが、低いため、近くに行かないと
判らないし、全てにリフレクターが付いているとも限らないので厄介だ。
つまるところ現物真剣勝負だ。
でもレフレクターに助けられたことも何回かある。
カタマランの特性で速度が出るので、結構危ない事に
遭う。
そのうち何か音がする、なんだろう??
だんだん大きくなる、まるで霧笛のように、
初めて聴いたのに、聴いたことのある音だ。
それは(TV、映画のシーン)の中での霧笛の音?
そうだ、これはやはり思ったとおり霧笛だ、
だんだんと大きくなり、GPSで見ると音源は納沙布岬
方向だ。
いよいよソ連国境線近くゴヨウマイ水道だ。
一番緊張するところだ、濃霧の中を行く、周りはすべて
霧で真っ白、宙に浮いているようです。
ソ連領貝殻島まで2km位、国境線はその真ん中、
と言うことは納沙布岬から1km沖までならOK、
しかし岬付近には岩礁等あり、定置網ありで沖700m位を私達は通過しているのだが、するとロシア国境まで2-300mだろう、計器走行で本当なのだろうか、もし計器が狂っていたら、ロシアへの越境船になり、拿捕されると思うと俄然、緊張する。その時、助かったのが霧笛の音源の位置だった。デジタルの計器、アナログの霧笛で
助かりました。
しかし今でも思います、なにも見えずに、岬を回ったことで、本当に回ったのだろうかと、、、、
そして今度は濃霧の中、二人でワツチしていて、本当にびっくりしました、
目の前10m先にプッシューと潮を吹いて10m位のクジラが浮上して、横切っていきました。
右から左へ横切っているのに、もうここで舵を切つても
間に合わないし諦めた。
がエンジンスロットルはニュートラルには入つていた。
そしてぶつかると覚悟を決めた、、、、、、、、、、、
何もなかった。危機一髪とはまさにこのこと
心臓バクバク状態が当分続きました。
本当に、いるんだ北の海には、とてつもない大きな物体が、遊んでいる訳じゃない、狩をしているんだ、
私たちの見えない海の中で、そして息をするために、
浮上してくる。衝突したらお互い辛いな、
昨年、釜山の帰路ニュースを聞いていたら、釜山~博多間のジェットフォイル ビートルが何かに衝突して、壊れた、海面は赤く染まったと、、、、
押して知るべくクジラだと、、、、
クジラもいい迷惑だろう。
それから我々は艇速を落とした。
それからも何度も定置網とのニアミスが続きました。
毎日毎日がサプライズ。
花咲港の入る前に根室港湾事務所へ連絡して停泊許可をもらう、広い港だ、左はソ連船が多いとのこと、
それで私たちは右の方入ってへ行くと、2トン積みタンクローリー車が止まっていたのでそこへ行き、舫を取ってもらい、ついでに軽油を100リツター入れてもらいました。
すると昔の西部警察みたいにいろんな車がいろんな方向からドヤドヤと集まってきて、まるで事件現場です。
埠頭が広いのでそんな事もできるのだろう。
それとなんとフレンドリーなんだろうと。
私たちはデッキに出るのに躊躇しました。
それからタクシーを呼んで半島の北側の町、根室へ向かいました。
距離は5kmだ、街を見て、銭湯へ行き、夕食は運転手さん推薦の居酒屋 俺ん家 花咲カニ1匹2800円
昨昨日TVで解禁になったと言っていた花咲カニ
北見の松岡夫妻が言っていたのは油っぽいと、、
確かに身のところどころに黄色の脂肪が見える、
私たちは油切れ寸前のため美味しかった
就寝10時半
明日はいよいよ太平洋だ 少しの安堵感を覚える
7/16(日)
またまた濃霧 風なし 波高0,5~1,5m
AM 5:20 花咲港 出港
70海里 10時間 平均時速7ノツト
PM 3:20 釧路港 入港
朝起きると、これもまたすごい霧、隣の漁船も見えないくらいの霧、どうしょうかと悩んでいたら、後ろから漁船のエンジン音が聞こえた。
出港の準備をしている若い4人に訊くと、この位では出港するという、しかし初めての私達にとって、ここの港の防波堤の位置さえ判らない、
そして港を出たら方位180度で行けばユルリ水道の真ん中を通るから大丈夫と、そして真ん中には定置網はないとのこと。
情報は現場で訊くに限るか、、、、
それで勇気をだして港を出る事になつたが、
初めての港ゆえ、防波堤の位置さえ判らないので、
レーダーとGPSと目視の、大緊張の時間となつた。
最近は緊張の連続日が続きます。
霧は恐ろしい、船を全盲にする。
見えないということは、すごいストレスを感じる。
そして2時間、霧のユルリ水道を抜けて太平洋のうねりを感じ始めた
ようやく厳しい北海道の東を通過したとの安堵感から、
寺西先生とか友人に電話をした。
稚内もそうだが、半分過ぎたので、いろいろ友人に電話をして、気を緩めて、ワツチを一人にしたら
スクリューにシートが絡みついた。
しかし今度は大丈夫と思い、裕子はワツチを離れ、昼食の準備に降りた途端、
ドカーンとすごい音、急停船、裕子が上がってきた、
二人とも怪我はなかつたのが救いだった。
海中を見ると大きなドラムカンのような浮き球が
海中下1mに数珠つなぎにあるではないか、
まるで罠のように水中にあり、また大きなうねりもあり気持ち悪い。
一番恐れていた事に遭遇したようだ。
エンジンで前後進をしている最中、水中から浮き球が100mほど浮上して来た。
ワツチはしていたのに、でも300mほど左前方に梵天がありその周りに浮き球が数個見えたがその周りには何も見当らなかつた。
しかし300mほど手前に100mおきに梵天が20本位あつたが
それを避けようとしたら随分遠回りなのでその100mの間をゆっくり進み、海中に何も見えなかったという経緯はあるが、、、
水温を見ると9℃だ、浸水していたらライフジャケツトではもつて2時間位か、テンダーはないが、米軍の一人用ゴムボートが一つある。一人は大丈夫だ、自分は乗れないなー。
船底、エンジン室をチェックしたら浸水はなかつた
よーし、もう一度脱出しようと後進全パワーで下がると外れた。
やったーと思ったら何か浮いてきた青い物、どっかで見たような物、よくよく見たらカーラのラダーだ。
船底塗料を今年は青色にしていたので判った、
そのラダーを取りに行こうとしたが、そのラダーが、浮いてきた浮き球に入り込んでいったので、また絡まれたら大変と証拠品ではあるが、このための保険だ、とにかく1分でもいいから、この気持ち悪い所から逃げたかった。
この海域を少し離れて、前の片肺の件があるので舵を切るがレスポンスは良い、ひとまず安心。
しかし、行く先々の梵天を見ると、とにかく遠回りしてでも避けて通るようになる。 梵天トラウマ状態は当分何日も続きました。
ファーストマリンの藤本さんに連絡すると、ラダー1つでは風のないところでは良いが、強風時には危険ではと云う、確かにそうだということで、一番近いマリーナは
苫小牧の勇払マリーナだ、2日間半の距離だ、そこで修理かなと案を練る。
そして釧路に着くと、日曜日でコンサートやら、海鮮市場フェスティバルとかで、大賑やかな釧路ポートセンターへ横付け、
これも艇速が堕ちるとふらふら状態になった、何とか岸壁付近は人だかりであり、そのうちの何人かが舫を取って頂いて助かりました。
恥ずかしくなるような祭りの中に入り混んだ、
場違いの感があった。
タクシーでまるひら釧路ラーメンを食す、さっぱり昔系
そして銭湯に行き、帰って埠頭で、おばあちゃんに尾道からですか、ご苦労様ですと声をかけられた。
そういえばどこへ行っても尾道ってどこですかは一度も訊かれなかった。小さな街だが、小さいから良いかもしれないか
スモール イズ スマート だれか言ってたなー
本日のこと、多分一生忘れないなー、しかし大事にいたらず良かったナーと思う。
思うと何年か前の嵐の夜のことも思いだして、
日ごろの行いが大事とか、生きているというより
生かされている感が強くなります。
宗教が存在する理由が判るような気がしました。
ゴムボートは2人用を買わんといけんなー
就寝10時半
7/17(月)
濃霧 真正面3-5m/s 波高1,5m
AM 4:20 釧路港 出港
94海里 13.3時間 平均時速7ノット
PM 5:20 えりも漁港 入港
朝方は、すごい濃霧
後は少しの濃霧
襟裳岬は見えました。
うねりがある、100頭ぐらいのイルカの群れに遭う、時々漁をしながら北に向かっている。
5グループは見た、ということはかなりの数だ
えりも漁港でも舫を岸壁の人に助けて貰った。
歩いて近くのホテルの風呂と寿司屋で夕食
就寝10時半
7/18(火)
曇り 正面3-5m/s 波高1.5m
AM 4:50 えりも漁港 出港
76海里 10時間 平均時速7.6ノット
PM 2:50 苫小牧勇払マリーナ 入港
勇払マリーナに連絡、位置は判るかとの答えに自信が無い、そうしたらボートで迎えに来てくれた。
そしてふらふら状態で入ると風があり中々うまく着岸しない。4-5人のスタッフの方たちでなんとか着岸できました。
もう限界だな、着岸時問題あり、ここで修理することにした。
このマリーナは本日定休日でした。申し訳ありませんでした。
クラブハウスでシャワー、艇内で食事
就寝11時 明日からは観光
(ラダー修理の記事)
7/19(水)
くもり
レンタカーで洞爺湖、昭和新山
昼食 レークヒル ファーム ビーフシチュー最高
ウィンザーホテル近く
貸切り風呂 洞爺湖
夕食 創作居酒屋 暖中 (中華風?) 美味
7/20(木)
晴れ
レンタカーで札幌市内観光
昼食 ラムハウス ケケレ
ジンギスカンの生を食べた( たれ付きではない)
いつもたれ付きですが 初めて食す 美味だ
千歳空港15:20~広島空港17:20
北海道編 998マイル
8/7(月)
移動日
広島空港12:30~千歳空港14:25
タクシーで勇払マリーナへ
ラダー交換には残念ながら、立ち会えなかつた
船体保険に加入していてので当方10万円で済んだが、
もしもの時の、、、、
ラダーの修理代はレッカー35万円、ラダー運賃含30万円、潜水夫代 8万円、施工費 15万円、etc
で合計94.5万円でした。
8/8(火)
曇り 真正面 10m/s 波高1-2m
AM 4:40 勇払マリーナ 出港
85海里 12時間 平均時速7,1ノット
PM 5:40 函館金森倉庫前 到着
金森倉庫前には、行かないつもりだった、
横付けすると、盆でもあり混雑して他ヨツトに迷惑をかけるため。
しかし、盆前だからと空いているかもしれないと思い、一応連絡して事情を話してみると横付けで良いと云われ
いそいそと来た次第であります。
ジュエリーショップ経営の水野さんに、舫を取ってもらい、今回のお礼を言う。
4隻来ていて、明日もう2隻来るとのこと、
私は明日は観光して、明後日出発なので、一日申し訳ないと言うと、槍付けのヨツトを詰めてもらうからいいですよと。
夕食 祐寿司 美味かった。
函館山にロープウェイで登る、夜景が綺麗でした。
歩いて帰った。
就寝11時
8/9(水)
晴れ
AM 10時起床
起きると艇の周りは観光客でいっぱいだ。
変な格好でデッキに出られない。
長崎出島ハーバーより気をつけないと、
パンツ一丁ではNGだ。
函館観光へ出発
タクシーで3時間観光
大沼公園~トラチピヌスト修道院~
運転手さんお奨め牧場(絞りたての牛乳がある)~
湯の川温泉
昼食 あじさい の塩ラーメン
夕食 幸寿司 (湯の川) 旨かった
朝、水野さんに台風の余波で明日は出られそうにないので、
明後日と、もう一日延ばして貰った。
明日はなにしよう、市内観光でもするか
就寝11時
8/10(木)
晴れ時々曇り
起床10時
ゆつくりしていると、停泊中のヨツトマンの訪問を
受けた、柿原さんといって大阪淡輪ヨットハーバーから北海道一周に来ていて、帰路の途中らしい。
柿原さんと他のヨットの人たちは私たちが毎夜ホテルへ
宿泊していると思っているようだ。
皆さんシングルハンドなので、今晩カーラパーティに
皆さんを招待することになった。
自由市場~海岸通り散策
昼食は蕎麦
買出し
夜カーラパーティ HAYATE柿原さん、アイランド池田さん、K&Aの山口さんと北海道一周の話で盛り上がり、
明日も波浪注意報らしいと云う事で、明日もパーティをする事になつて解散
就寝11時
8/11(金)
曇り 波浪注意報
ランチ 山田のざる蕎麦&小いけのカレー
夕食 カーラパーティ 昨夜の3人にエトピリカの堀江さんご一行3人、グリークの小杉さんに水野夫妻でまたまた
盛り上がった。
話の中でカーラがオホーツク海でトラブッた時電話を頂いたのがグリークの小杉さんというのが判りお礼を言う
それとか、カーラが落石岬でラダー喪失の後、アイランドの池田さんが、あの水中にある定置網に引っ掛かり、保安庁へ連絡して、漁船に引っ張ってもらい、潜水夫を雇ってぶらぶらのラダーを下から押して横抜きを入れ修理した話、全員いろいろ苦労話はたえません。
K&Aの山口さんは(銚子マリーナ)昨年北海道一周のため、ここ函館に来て舫を取るため岸壁へ飛び降りたら、
カカトを骨折して、無念のリタイアとなつた話、
これから北海道一周すると聞いたので、定置海図を貸してあげた。
水野さんはいつもニコニコと聞いています。
お二人のボランティアには聞けば聞くほど頭が下がります。
良い真夏の夜のパーティでした。
明日は出港しないといけません。浦島太郎状態です。
函館、最後の夜です。
就寝11時